さいたま市立浦和高等学校(通称:市立浦和・市高)は、埼玉県さいたま市浦和区に位置する市立の中高一貫校です。男子校の県立浦和高校と区別して「市立浦和(いちりつうらわ)」と呼ばれ、偏差値66-70の難関公立高校として高い人気を誇ります。
2007年に中高一貫校となってからは、6年間を通じた体系的な教育により、東京大学をはじめとする難関大学への合格実績を着実に向上させています。「文武両道」「自由闊達」「自主自立」を教育方針に掲げ、部活動においても全国レベルの強豪部を多数抱える、総合力の高い学校です。
本記事では、市立浦和高校の入試情報から進学実績、部活動、校風まで、受験を検討している中学生と保護者の皆様に役立つ情報を詳しく解説します。
市立浦和高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
市立浦和高校の偏差値は複数の模試で以下のように評価されています。
模試・情報サイト | 偏差値 | 基準 |
---|---|---|
みんなの高校情報 | 70 | – |
W模擬|新教育スクールガイドウェブ | 67 | 合格可能性60%水準 |
市進高校受験情報ナビ | 69 | 合格可能性80%水準 |
偏差値67-70という数値は、埼玉県内の公立高校としてトップクラスの難易度を示しており、県立浦和高校に次ぐ位置にあります。
入試倍率
過去4年間の入試倍率推移は以下の通りです。
年度 | 志願倍率 | 志願確定倍率 | 受検倍率 | 合格倍率 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 1.96倍 | 1.88倍 | 1.87倍 | 1.83倍 |
2024年度 | 1.82倍 | 1.75倍 | 1.73倍 | 1.68倍 |
2023年度 | 2.30倍 | 2.20倍 | 2.19倍 | 2.13倍 |
2022年度 | 2.20倍 | 2.13倍 | 2.11倍 | 2.06倍 |
2025年度は1.83倍の合格倍率で、前年の1.68倍から上昇しました。2023年の2.13倍がピークでしたが、その後やや落ち着いている傾向があります。ただし、1.8倍程度の倍率は依然として高い人気を示しており、しっかりとした受験対策が必要です。
市立浦和高校の歴史と伝統
創立の経緯
市立浦和高校の歴史は1940年(昭和15年)に設立された「浦和市立高等女学校」に遡ります。1943年には男子校として「浦和市立中学校」が設立され、1950年に両校が統合して現在の「浦和市立高等学校」が誕生しました。
歴史的変遷
主要な歴史的節目
- 1940年:浦和市立高等女学校設立
- 1943年:浦和市立中学校設立
- 1950年:両校統合により浦和市立高等学校として開校
- 2001年:さいたま市合併により「さいたま市立浦和高等学校」に改称
- 2007年:中高一貫教育校として浦和中学校を併設開校
- 2021年:高校開校80周年、人工芝グラウンド完成
80年を超える伝統
2021年に高校開校80周年を迎えた市立浦和高校は、長年にわたって埼玉県の教育界に貢献してきました。特にサッカー部は全国制覇8回という輝かしい実績を誇り、「市高サッカー」として全国に名を轟かせています。また、1988年の甲子園でのベスト4進出(通称「さわやか旋風」)も学校の誇りとなっています。
市立浦和高校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
所在地 | 埼玉県さいたま市浦和区元町1-28-17 |
アクセス | JR京浜東北線「北浦和駅」より徒歩12分 |
北浦和駅は京浜東北線の駅で、東京駅まで約30分、大宮駅まで約10分とアクセスが良好です。駅から学校までは徒歩12分と適度な距離で、通学路は住宅街を通る安全なルートです。
周辺環境
市立浦和高校は浦和区元町に位置し、文教地区として知られるエリアにあります。
周辺の特徴
- 文教地区:浦和は「文教のまち」として知られ、教育熱の高い地域
- 静かな住宅街:学習環境に適した落ち着いた環境
- 交通利便性:京浜東北線沿線で都心へのアクセス良好
- 商業施設:駅周辺にはコンビニや書店など学生生活に必要な施設が充実
注意点
- 正門前の道路は一方通行
- 駐車場がないため、保護者の送迎時は近隣への迷惑駐車に注意が必要
市立浦和高校の校風と教育方針
教育目標
- 浦和中学校の教育目標 「高い知性と豊かな感性・表現力を備えた国際社会に貢献できる生徒の育成」
- 浦和高等学校の教育目標 「高い知性と豊かな人間性・社会性を兼ね備え、国際社会に貢献する高い志を持った人材を育成する」
特色ある教育活動
中高一貫教育の利点
高入生と内進生の相互刺激
- 高校入学生(高入生)と内部進学生(内進生)がお互いに刺激し合う環境
- 体育・芸術の授業は高入生と内進生が合同で実施
- 部活動や学校行事を通じた活発な交流
6年間を通じた体系的教育
- 基礎期(中1・中2)、充実期(中3・高1)、発展期(高2・高3)の段階的学習
- つなぎ学習として高校教員が中学で授業を実施
学習システム
週34時間授業
- 月曜日8時間授業
- 火〜金曜日6時間授業
- 隔週土曜日4時間授業
- 年間で標準的な高校より5週間分多い授業時間
3学期制・50分授業(ノーチャイム)
- 日本の季節と文化に適応した3学期制
- 集中力持続に適した50分授業
- 自主性を重んじるノーチャイム制
類型制(2年次より)
- 文系・理系に分かれる類型選択
- 個人の進路希望に対応したカリキュラム
- 国公立5教科7科目受験に完全対応
独自の校風
三つの教育方針
- 文武両道:「文」を極めるには「武」によって培われた健全な心と体が必要であり、「武」を極めるにも「文」によって培われた思考力が大切です。
- 自由闊達:高校の3年間で知識だけでなく、心も体も大きく成長します。学習はもちろん、学校行事や部活動を通じて、仲間とのびのびと活動できる環境を提供しています。
- 自主自立:自ら考え行動することを重視し、高校生活では中学時代よりもいっそう自立した行動と自立心が求められます。
校長の教育理念
神田剛広校長は「真の学力とは?」への解として、「軸」と「統合力」の2つを提唱しています。
- 「軸」の育成: 判断力・意識・信念・哲学など個性を織りなす基盤を鍛え上げ、実生活での諸課題に真正面から向き合う拠り所を形成します。
- 「統合力」の育成: 断片的な思考を連携させる力を身につけ、国立大学2次試験で問われるような総合的な記述力や、大学での学際的な学習に対応できる能力を培います。
市立浦和高校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
2025年3月卒業生(319人)の進学実績は、国公立大学106人(33.2%)、私立大学955人という優秀な結果となりました。
3年間の国公立大学合格率推移
- 2025年3月:106人(33.2%)
- 2024年3月:125人(39.1%)
- 2023年3月:112人(36.1%)
この合格率は埼玉県内の公立高校としては非常に高い水準となっています。
主な大学・短大・専門学校合格実績
最難関大学(東京一科医)への合格実績
大学名 | 2025年 | 2024年 | 2023年 |
---|---|---|---|
東京大学 | 6人 | 2人 | 4人 |
京都大学 | 0人 | 2人 | 2人 |
東京科学大学 (旧東京工業大学+旧東京医科歯科大学) | 6人 | 0人 | 0人 |
一橋大学 | 4人 | 6人 | 1人 |
医学部医学科 | 3人 | 0人 | 1人 |
特筆すべきは2025年の東京大学6人合格で、前年の2人から3倍に増加し、同校の学力向上を象徴する結果となりました。
私立難関大学への合格実績
早慶上理医(2025年)
- 早稲田大学:68人
- 慶應義塾大学:22人
- 上智大学:27人
- 東京理科大学:66人
- 合計:183人(卒業生の57.4%)
GMARCH(2025年)
- 明治大学:108人
- 立教大学:92人
- 法政大学:86人
- 青山学院大学:43人
- 中央大学:34人
- 学習院大学:14人
- 合計:377人
理系の強さ
東京理科大学66人、芝浦工業大学37人など、理系大学への合格実績が特に充実しています。これは同校の理系教育の質の高さを示しています。
進路指導の特徴
3年間を通じた体系的指導
- 1年生:学習方法ガイダンス、大学入試制度の理解
- 2年生:大学調査開始、OB・OG懇談会での情報収集
- 3年生:具体的な受験対策、個別指導の充実
独自の取り組み
- 難関大資料集: 東大をはじめとする難関大学の入試問題を本校教員が解説した独自の資料集を作成・配布しています。
- 夏期講習: 3年生向けには幅広いレベルの講座を、1・2年生向けにはハイレベルな内容の講座を開講し、夏休みを4期に分けて集中的な学習をサポートしています。
- きめ細かな面談: 各学期に実施する二者面談・三者面談により、生徒一人ひとりの状況を把握し、第一志望実現に向けた最適なアドバイスを提供しています。

市立浦和高校のイベント・学校行事
主な年間行事
1学期の主要行事
4月
- 入学式
- 校内実力テスト
- 対面式・新入生歓迎会
5月
- 中間考査
- 体育祭(中高合同で8ブロックに分かれて実施)
6月
- 開校記念日(6月1日)
- 米国姉妹校訪日(クローバーヒル高校との交流)
7月
- 期末考査
- 球技大会
- 学校説明会・部活動体験
- 夏期講習・学習マラソン
2学期の主要行事
9月
- 文化祭(一般公開あり)
- 校内実力テスト
10月
- 模試・三者面談
- 中間考査・学校説明会
11月
- 模試・学校説明会
- 2年修学旅行(シンガポール)
- 1年遠足
12月
- 期末考査・学校説明会
3学期の主要行事
2月
- ロードレース大会
- 模試
3月
- 学年末考査
- 卒業式
- 球技大会
- 米国姉妹校訪問
特色ある行事
中高一貫校ならではの行事
- 中高合同体育祭: 中学1年生から高校3年生までが8ブロックに分かれ、個人種目や学年種目、中高合同種目で競い合います。先輩と後輩の絆が深まる貴重な機会です。
- 文化祭 :毎年9月に開催される文化祭は一般公開され、多くの来場者で賑わいます。中学生と高校生が協力して企画・運営を行います。
国際交流行事
- シンガポール海外修学旅行 :2年生全員がシンガポールを訪れ、現地高校との交流や班別市内見学を行います。
- 米国姉妹校交流 :ヴァージニア州リッチモンド市のクローバーヒル高校との20年を超える姉妹校交流により、相互派遣を実施しています。
市立浦和高校の部活動や課外活動
運動部
全国レベルの強豪部
サッカー部
- 全国制覇8回(選手権4回、インターハイ1回、国体3回)。現在も埼玉県2部リーグで私立強豪と切磋琢磨。
- 選手権優勝4回は埼玉県内最多
- 2021年には県内公立校2例目の人工芝グラウンドが完成

野球部
- 1988年甲子園初出場でベスト4(「さわやか旋風」)
- 近年も県ベスト16の常連校
陸上競技部
- 関東大会・全国大会の常連
- 2024年は4種目で全国大会出場
その他の充実した運動部
団体競技
- ハンドボール部(男女):関東大会出場多数
- バレーボール部(男女)
- バスケットボール部(男女)
- ソフトテニス部・硬式テニス部
個人競技
- 弓道部:東日本大会出場実績
- 空手道部・卓球部・バドミントン部
文化部
全国レベルの活動
インターアクト部
- 全国高校生英語ディベート大会7回優勝(2010年、2015年、2017年、2020年、2021年、2022年、2024年)
- 史上初の3連覇達成(2020年、2021年、2022年)
- 国際交流活動も活発
吹奏楽部
- 全日本吹奏楽コンクール西関東支部大会8回出場
- 全日本高等学校吹奏楽大会in横浜5回出場
放送部
- 2021年度NHK杯全国高校放送コンテスト出場
その他の文化部
芸術系
- 美術部・書道部・華道部・茶道部
- 音楽部(軽音楽)・箏曲部
学術系
- サイエンスクラブ・写真部・JRC(青少年赤十字)
特色ある活動
中高一貫による活動の幅
一部の部活動では中学生と高校生が一緒に活動し、縦のつながりを大切にした指導が行われています。
文武両道の実践
多くの部活動で勉強との両立が重視され、国公立大学や難関私立大学への進学実績を残しています。例えば野球部からも東京大学や早慶などの難関大学への合格者が出ています。
市立浦和高校の施設と環境
主な施設
教育施設
校舎構成
- A棟:普通教室、ガイダンスルーム、視聴覚ホール
- B棟:美術室、科学実験室、食堂、語学ゼミ室、情報学習室
- ナビ棟:多機能学習室、大会議室、自習室、資料室
図書館
- 蔵書45,000冊の充実した高校図書館
- 読書、調べ学習、自習など多目的に活用可能
体育施設
グラウンド・コート
- 人工芝グラウンド(2021年完成)
- テニスコート(クレー2面)
- ハンドボールコート
体育館
- 重層体育館(アリーナ・武道場)
- 2021年に空調設備設置完了
- 武道場には東京2020オリンピックで使用されたマットを譲渡
部活動施設
専用施設
- 弓道場
- 運動部室棟(22部室)
- 文化部室棟(13室)
特色ある施設・環境
ICT教育環境
1人1台iPad
- 全生徒にiPad・アップルペンシルを配布
- ClassiやClassiNOTEなどの教育支援サービスを活用
- MS365とGoogleアカウントを付与し、情報化社会に対応
中高一貫専用施設
プール・研修・合宿棟
- 中高一貫教育対応の専用施設
- ミーティングルーム、和室を完備
生活環境
食堂・合宿所
- 生徒ホールに食堂併設
- 部活動の合宿にも対応可能
安全対策
- 機械警備システム導入
- 太陽光発電・蓄電池設置(環境配慮)
文武両道で夢を叶える!市立浦和で未来への扉を開こう
市立浦和高校は、偏差値66-70の難関校でありながら、「文武両道」「自由闊達」「自主自立」の教育方針の下、生徒一人ひとりの個性と可能性を最大限に伸ばす学校です。
2025年度の進学実績では、東京大学6人合格をはじめとする難関大学への合格率向上が示すように、中高一貫教育の成果が着実に表れています。同時に、サッカー部の全国制覇8回、インターアクト部の英語ディベート全国7回優勝など、部活動でも全国トップレベルの実績を誇っています。
80年を超える伝統と最新の教育環境が融合した市立浦和高校は、勉強も部活動も妥協したくない、そして将来は国際社会で活躍したいと考える中学生にとって理想的な学習環境を提供しています。
人工芝グラウンドや充実したICT環境など、ハード面でも県内屈指の設備を誇る同校で、あなたも「市高生」として充実した高校生活を送り、夢の実現への第一歩を踏み出してみませんか。
