埼玉県立川越高等学校は、明治32年(1899年)創立の伝統ある男子校です。「自主自立」を校風の根幹とし、126年の歴史の中で約35,000名の卒業生を社会に送り出してきました。同校最大の特徴は制服がないことと、全員が部活動に参加する「全員加入制」です。
2015年にはノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏(第29回卒業生)を輩出し、全国的な注目を集めました。「川高サイエンス探究」や「グローバルリーダーシッププログラム」など先進的な教育プログラムを展開し、「科学の甲子園」全国大会7位入賞の実績を誇ります。
また、映画「ウォーターボーイズ」で有名になった元祖・男子シンクロナイズドスイミングの発祥校としても知られ、独自の「川高気質」のもと真の人間力を育成しています。本記事では、川越高校の入試情報から校風、部活動、進学実績まで詳しく解説します。
県立川越高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
県立川越高校は埼玉県内で春日部や川越女子などとともに難関レベルの高校として位置づけられており、各種模擬試験・情報サイトとでの偏差値は以下の通りです。
- みんなの高校情報:69
- W模擬|新教育スクールガイドウェブ:65(60%水準)
- 市進高校受験情報ナビ:67(80%水準)
上記偏差値データを総合すると、川越高校の合格には偏差値65~69程度の学力が必要となります。埼玉県内の公立高校の中でも最上位の県立浦和・大宮・浦和一女に次ぐ、難関クラスの入学難易度を誇ります。
入試倍率の推移
年度 | 志願倍率 | 志願確定倍率 | 受検倍率 | 合格倍率 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 1.54倍 | 1.47倍 | 1.46倍 | 1.44倍 |
2024年度 | 1.52倍 | 1.47倍 | 1.46倍 | 1.44倍 |
2023年度 | 1.41倍 | 1.40倍 | 1.38倍 | 1.38倍 |
2022年度 | 1.50倍 | 1.45倍 | 1.42倍 | 1.41倍 |
倍率は1.4~1.5倍程度で推移しており、埼玉県内屈指の進学校として安定した人気を保っています。
県立川越高校の歴史と伝統
県立川越高校は明治32年(1899年)に埼玉県第三中学校として開校した、126年の輝かしい伝統を誇る名門校です。川越という歴史ある城下町に設立され、地域に根ざしつつ世界を目指すユニークなリーダーたちを輩出してきました。
主な沿革
- 明治32年(1899年):埼玉県第三中学校として開校
- 昭和23年(1948年):学校教育法により埼玉県立川越高等学校と改称
- 平成11年(1999年):新図書館竣工、創立100周年記念式典
- 平成18年(2006年):SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定
- 令和2年(2020年):「世界をリードする科学技術人材育成事業」指定校
創立以来126年間で卒業生は約35,000名に達し、その中には2015年ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏をはじめ、各界で活躍する多くの人材がいます。政界では複数の国会議員、実業界では大手企業の経営者、学界では大学教授や研究者など、幅広い分野でリーダーとして活躍しています。
県立川越高校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
所在地 | 〒350-0053 埼玉県川越市郭町2-6 |
最寄り駅 | ・JR東武東上線「川越駅」 ・川越駅東口から東武バス「一番街」下車徒歩7分 ※「蔵のまち」経由のバスはすべて通る |
周辺環境
川越高校は「小江戸」として知られる川越市の中心部に位置し、歴史と文化に恵まれた環境にあります。周辺には蔵造りの町並み、川越城跡、喜多院などの歴史的建造物が点在し、伝統文化を身近に感じられる立地です。
川越は東京都心から約1時間というアクセスの良さでありながら、歴史ある街並みが保存されており、生徒たちは豊かな文化的環境の中で学習に取り組むことができます。商業施設も充実しており、学生生活に必要な環境が整っています。
県立川越高校の校風と教育方針
川越高校の教育は「川高気質」という独自の理念に基づいています。「勉強だけじゃイミがない。人間力重視のカワタカ・ライフ。」をモットーに、単なる大学進学予備校ではない全人教育を実践しています。
教育目標
- 人格の完成を目指し:真理と正義を愛し、個人の価値をたっとぶ
- 自主的精神に充ちた:心身ともに健康な生徒の育成
- 目指す学校像:自主自立の校風を継承・発展させ、リーダーとなる良識ある人材を育成
特色ある教育活動
- 川高サイエンス探究:SSH事業を発展させた独自の科学教育プログラム
- グローバルリーダーシッププログラム:3段階の国際教育プログラム
- 自主ゼミ:生徒の求めに応じた教員による補習・発展学習
川高サイエンス探究では、課題研究や科学コンテスト参加を通じて応用力を身につけます。2025年度「科学の甲子園」全国大会では第7位入賞という素晴らしい成績を収めました。ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章先生が研究指導アドバイザーとして関わっており、最先端の科学に触れる機会も豊富です。
グローバルリーダーシッププログラムは、Cultural Enrichment Activity(異文化理解)、Global Studies Program(疑似留学体験)、Future Leaders Program(海外研修)の3段階で構成され、段階的に国際感覚を育成します。
独自の校風
- 制服なしの自由な環境:服装や髪型は生徒の自由裁量、生徒憲章による自主管理
- 全員部活動加入制:すべての生徒が運動部または文化部に所属
- 伝統を塗り替える気概:古いものを大切にしながら新しい伝統を創造
- 本気の遊び心:何事にも全力で取り組む姿勢
川越高校には制服がなく、生徒憲章のもとすべての行動を自主自立の精神で管理しています。この自由な環境の中で、生徒たちは個性を存分に発揮し、のびのびと高校生活を謳歌しています。元祖「Water Boys」に象徴されるように、「冗談からコマ」の活動でも本気で取り組み、新たな伝統を創造する気概があります。
県立川越高校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
2025年3月卒業生の合格状況
項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
卒業生数 | 352人 | – |
国公立大学合格者 | 138人 | 39.2% |
私立大学合格者 | 605人 | – |
延べ合格者数 | 730人 | – |
3年間の国公立合格率推移
年度 | 卒業生数 | 国公立合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2025年 | 352人 | 138人 | 39.2% |
2024年 | 348人 | 95人 | 27.3% |
2023年 | 352人 | 119人 | 33.8% |
川越高校は埼玉県内でも屈指の進学校として、特に2025年度は国公立大学合格率39.2%という過去3年間で最高の実績を収めました。この大幅な改善は、川高サイエンス探究や進学型単位制による教育改革の成果が結実した証といえます。
現役生の主な大学・短大・専門学校合格実績
川越高校の2025年3月卒業生の合格実績は、同校の高い教育力を証明するものです。国公立大学138人(39.2%)という合格率は、埼玉県内の公立高校としてはトップクラスの実績といえます。
最難関大学|東京一科医合格実績(2025年3月)
大学名 | 合格者数 |
---|---|
東京大学 | 6人 |
京都大学 | 3人 |
一橋大学 | 6人 |
東京科学大学(旧東工大) | 5人 |
国公立医学部医学科 | 2人 |
合計 | 22人 |
最難関大学への合格者22人は、卒業生352人の6.3%に相当する優秀な実績です。東京大学6人、一橋大学6人という結果は、川越高校の高い学力レベルと文理両分野でのバランスの取れた教育を示しています。
東京大学6人の合格は、同校の最高水準の教育力を物語っています。一橋大学6人は社会科学分野での強さを表しており、将来の経済界リーダーとして活躍が期待されます。京都大学3人、東京科学大学5人、国公立医学部医学科2人(群馬大学・長崎大学)も、多様な分野で日本の未来を担う人材として期待されます。
難関国公立大学|旧帝大・TOCKY合格実績(2025年3月)
大学名 | 合格者数 |
---|---|
東北大学 | 10人 |
北海道大学 | 8人 |
九州大学 | 2人 |
筑波大学 | 3人 |
千葉大学 | 9人 |
横浜国立大学 | 11人 |
東北大学10人は地理的な近さと研究環境の充実により、川越高校生に人気の進学先となっています。横浜国立大学11人は首都圏の国公立大学として高い人気を集めています。その他、地元志向の現れで埼玉大学に20人の合格者を輩出しています。
早慶上理合格実績
大学名 | 合格者数 |
---|---|
早稲田大学 | 65人 |
慶應義塾大学 | 32人 |
上智大学 | 8人 |
東京理科大学 | 56人 |
私立医学部医学科 | 3人 |
早慶上理合計 | 161人 |
早慶上理161人という合格実績は、卒業生352人の45.7%、私立延べ合格者の26.6%に相当する素晴らしい数字です。早稲田大学65人は総合大学としての多様性が評価され、東京理科大学56人は川高サイエンス探究による理系教育の成果を如実に示しています。
GMARCH合格実績
大学名 | 合格者数 |
---|---|
明治大学 | 96人 |
法政大学 | 59人 |
中央大学 | 41人 |
立教大学 | 34人 |
学習院大学 | 14人 |
青山学院大学 | 11人 |
GMARCH合計 | 255人 |
GMARCH255人は非常に充実した実績で、明治大学96人が群を抜いて多く、川越高校生の主要な進学先群となっています。
その他注目の合格実績
- 芝浦工業大学:58人(理系単独大学としてMARCHと肩を並べる難易度)
- その他私立大学:131人

進路指導の特徴
3年間を見通した体系的指導
川越高校では、1年次から計画的な進路指導を展開しています。自主ゼミシステムにより、生徒の意欲に応じた個別指導を実施し、大学受験のための準備にとどまらず、知的好奇心や進路選択力、大学進学後の目的意識を引き出しています。
自主ゼミの充実
川越高校独自の自主ゼミでは、通常の授業内容を超えた範囲まで、生徒の求めや関心に応じて随時補習クラスを組んで指導しています。英文法総合、古典、物理、共通テスト対策など多様な講座が開講され、生徒の多様なニーズに対応しています。
大学教授による模擬講義
毎年実施される大学教授を招いての模擬講義は、生徒の知的好奇心を刺激し、大学での学びに対する意識を高める重要な機会となっています。これらの取り組みにより、卒業生からも高い評価を受けています。
県立川越高校のイベント・学校行事
川越高校の学校行事は「川高気質」を体現する特色あるものばかりです。
主な年間行事
- 4月:入学式、始業式、新入生歓迎会
- 5月:生徒研究発表会、中間考査
- 6月:水泳大会、球技大会(1年)
- 7月:芸術鑑賞会、期末考査
- 8月:夏季休業
- 9月:くすのき祭、陸上競技大会
- 10月:中間考査、博物館見学(1年)、修学旅行(2年)
- 11月:強歩大会
- 12月:期末考査、文化講演会、冬季休業
- 1月:大学入学共通テスト、学年末考査
- 2月:サイエンス探究、研究発表会
- 3月:卒業式、終業式
特色ある行事
- くすのき祭:川越高校最大のイベント、約1年前からデザインを決めて門づくりを行う
- 強歩大会:川越高校の伝統行事で、長距離を歩ききることで心身を鍛える
- 陸上競技大会:生徒と教員が本気で競い合う伝統の体育祭
- Water Boys:元祖男子シンクロナイズドスイミング
くすのき祭の門づくりは、川越高校の誇る伝統行事の一つで、約1年前からデザインを決め、全校生徒が協力して建築に励みます。2日間で20,000人もの来場者がこの門をくぐり、地域からも愛され続けています。
県立川越高校の部活動や課外活動
川越高校は全員部活動加入制を採用しており、すべての生徒が運動部または文化部に所属しています。
運動部
川越高校の運動部は15部あり、それぞれが高いレベルで活動しています。
主な運動部の実績
- 水泳部:元祖Water Boysで全国的に有名、西部支部水泳競技大会男子総合3位(R1年)
- 陸上競技部:関東大会県予選出場、全国大会出場実績(R4年三段跳び、R5年やり投げ)
- 野球部:秋季県大会出場
- サッカー部:県大会出場実績
- ラグビー部:関東高校ラグビー大会西部地区優勝
- バレーボール部:新人戦西部地区予選ベスト8
- バスケットボール部:県大会出場実績
- 卓球部:関東大会県予選出場
- 柔道部:個人戦で関東大会出場
- 剣道部:県大会団体・個人戦出場
文化部
文化部は21部あり、多様な分野で全国レベルの活躍を見せています。
全国大会・関東大会出場実績
- 放送部:NHK杯の常連の放送部、高校生映画甲子園優勝・特選・最優秀賞などの実績
- 吹奏楽部:吹奏楽コンクール県大会にて銀賞・銅賞実績
- 音楽部:埼玉県合唱コンクール金賞、関東合唱コンクール金賞、オーストリアでの合唱オリンピック出場
- 弦楽合奏部:全国高等学校総合文化祭出場
- 物理部:ロボカップジュニア・ジャパン オープン2025名古屋大会で準優勝し世界大会に出場
- 生物部:高校生バイオサミット最優秀賞受賞
- 地学部:日本地学オリンピック本選出場
- 書道部:高校書道国際展奨励賞
物理部のロボカップ世界大会出場や音楽部のオーストリア合唱オリンピック出場は特に注目すべき実績で、国際的な舞台で川高生の実力を示しました。
特色ある活動
- 科学の甲子園:2025年全国大会第7位入賞の快挙
- 川高サイエンス探究:各種科学コンテストで優秀な成績
- グローバルスタディーズプログラム:4日間の疑似留学体験
- Winter English Challenge:英語ディベート体験プログラム
科学の甲子園全国大会第7位入賞は、川高サイエンス探究の成果を全国に示す素晴らしい結果でした。47都道府県から選抜された精鋭チームとの競技で、筆記競技、実技競技ともに高いレベルを示しました。
県立川越高校の施設と環境
川越高校は126年の歴史に相応しい充実した施設・設備を保有しています。
主な施設
教育施設
- 図書館:蔵書数67,000冊以上、平日20:00まで開館
- 理科実験室:川高サイエンス探究対応の最新設備
- 情報教室:プログラミング教育対応
- 音楽ホール:各種発表会・講演会に対応
- 美術室:創作活動のための充実した設備
体育施設
- 体育館:メインアリーナ・小体育館完備
- プール:Water Boys伝統の舞台
- グラウンド:各種球技に対応
- 武道場:柔道場・剣道場併設
- テニスコート:複数面完備
生活施設
- 食堂:栄養バランス考慮したメニュー
- 保健室:健康管理・相談対応
- 進路指導室:大学資料・過去問完備
- 部室:各部活動専用スペース
特色ある施設・環境
- 歴史ある校舎:126年の伝統を感じさせる風格ある建物
- 川高サイエンス探究対応設備:最先端の科学教育環境
- 自由な学習環境:制服のない開放的な校風を反映した空間
図書館は平日20:00まで開館しており、部活動終了後の自習も可能です。蔵書数67,000冊以上を誇り、多様な学習ニーズに対応しています。また、土曜日も県立学校施設公開により午前9時40分から午後4時まで開館し、地域にも開放されています。
自主自立の名門校で真の人間力を身につけよう
県立川越高校は、126年の伝統と「自主自立」の校風のもと、真の人間力を重視した教育を実践する男子校です。偏差値65-69の高い学力水準と、制服なしの自由な環境が生徒の個性と可能性を最大限に引き出します。
ノーベル物理学賞受賞者梶田隆章氏を輩出した理系教育の伝統と、「科学の甲子園」全国7位の実績が示すように、科学技術分野での教育力は全国トップクラスです。元祖「Water Boys」に象徴される「本気の遊び心」と創造性により、新しい伝統を生み出し続けています。
全員部活動加入制のもと運動部15部・文化部21部が活発に活動し、多くの部が全国レベルで活躍しています。グローバルリーダーシッププログラムや自主ゼミシステムなど、生徒の多様な関心と能力に応える教育システムも充実しています。
入試倍率1.4~1.5倍という適度な競争の中で、「勉強だけじゃイミがない」川高気質を身につけ、将来各界のリーダーとして活躍したい中学生にとって、川越高校は最適な選択です。自由と責任を学び、真の人間力を育む3年間が、あなたの人生を大きく飛躍させることでしょう。
