県立浦和第一女子高等学校(通称:浦和一女・一女)は、埼玉県さいたま市浦和区に位置する県立女子高校として、1900年(明治33年)の開校以来125年にわたり、埼玉県女子教育のトップリーダーとして君臨し続けています。偏差値67-72の超難関女子高校として、「世界で活躍できる知性と教養、逞しさを備え、社会に貢献する高い志を持った魅力あるリーダーを育成する女子高校」を目指しています。
文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、またスーパーグローバルハイスクール(SGH)事業の元指定校として、現在もスーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク構築事業に参画し、国際教育の先進的な取り組みを継続しています。理系教育と国際教育の両面で全国トップクラスの実績を誇っています。2025年3月卒業生の進学実績では、国公立大学138人(39.1%)、早慶上理146人という女子校として全国屈指の結果を残しています。
本記事では、一女の入試情報から進学実績、125年の伝統に根ざした校風まで、志望を検討している中学生と保護者の皆様に役立つ情報を詳しく解説します。
県立浦和第一女子高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
県立浦和第一女子高校の偏差値は複数の模試で以下のように評価されています。
模試・情報サイト | 偏差値 | 基準 |
---|---|---|
みんなの高校情報 | 72 | – |
W模擬|新教育スクールガイドウェブ | 67 | 合格可能性60%水準 |
市進高校受験情報ナビ | 69 | 合格可能性80%水準 |
偏差値67-72という数値は、埼玉県内の高校として最高水準の難易度を示しており、女子高校としては全国トップクラスです。特に北辰偏差値67は、埼玉県の女子中学生にとって最も権威ある指標として重視されています。
入試倍率
過去4年間の入試倍率推移は以下の通りです:
年度 | 志願倍率 | 志願確定倍率 | 受検倍率 | 合格倍率 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 1.33倍 | 1.31倍 | 1.29倍 | 1.29倍 |
2024年度 | 1.38倍 | 1.37倍 | 1.32倍 | 1.29倍 |
2023年度 | 1.37倍 | 1.35倍 | 1.30倍 | 1.30倍 |
2022年度 | 1.53倍 | 1.47倍 | 1.43倍 | 1.42倍 |
2025年度は1.29倍の合格倍率で、ここ数年は1.3倍前後で推移しており、比較的安定した競争率となっています。2022年の1.42倍がピークで、その後は若干落ち着いている傾向が見られます。偏差値の高さに対して倍率が極端に高くないのは、受験生が自分の実力を慎重に判断して出願している可能性を示唆しています。
県立浦和第一女子高校の歴史と伝統
125年の輝かしい歴史
県立浦和第一女子高校は、1900年(明治33年)に埼玉私立教育会が設立した埼玉女学校を引き継ぐ形で、埼玉県高等女学校として設立されました。これは埼玉県で最初に設置された高等女学校であり、県内最古の女子校として知られています。
歴史的変遷
創設期から戦前(1900年〜1945年)
- 1900年:埼玉県高等女学校として設立
- 1901年:埼玉県女子師範学校に併置、埼玉県立浦和高等女学校と改称
- 1911年:女子師範学校から分離独立
- 1941年:埼玉県立浦和第一高等女学校と改称
戦後から現在(1948年〜現在)
- 1948年:新制高校として埼玉県立浦和第一女子高等学校に改称
- 2000年:創立100周年記念式典挙行
- 2004年:文部科学省「スーパーサイエンスハイスクール」初指定
- 2016年:文部科学省「スーパーグローバルハイスクール」指定
3万2千人余りの卒業生
125年の歴史の中で、一女は3万2千人余りの卒業生を輩出し、政界・官界、学術・研究、文化・芸能、マスコミなど各界で活躍する人材を送り出しています。特に女性の社会進出が限られていた時代から、常に時代をリードする女性の育成を目指してきた伝統があります。
県立浦和第一女子高校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
所在地 | 埼玉県さいたま市浦和区岸町3-8-45 |
アクセス | JR各線「浦和駅」西口より徒歩8分 JR各線「南浦和駅」西口より徒歩12分 |
浦和駅は埼玉県の中心駅として、京浜東北線・宇都宮線・高崎線・上野東京ラインが乗り入れており、東京駅まで約25分、新宿駅まで約30分と都心へのアクセスが非常に良好です。
周辺環境
県立浦和第一女子高校は浦和区岸町に位置し、埼玉県庁や浦和区役所に近い、まさに埼玉県の中心部にあります。
周辺の特徴
- 行政の中心地:埼玉県庁、さいたま市役所浦和区役所が近隣
- 文教地区:浦和は古くから「文教のまち」として発展
- 交通の要所:JR浦和駅を中心とした交通ネットワークの中心
- 文化施設:埼玉県立図書館、埼玉会館などの文化施設が充実
- 商業施設:浦和駅周辺には伊勢丹、コルソなどの商業施設
注意点
- 自家用車での来校は遠慮が求められている
- 徒歩通学圏内の生徒も多く、自転車通学者は登録とヘルメット着用が義務
県立浦和第一女子高校の校風と教育方針
教育目標
目指す学校像 :「世界で活躍できる知性と教養、逞しさを備え、社会に貢献する高い志を持った魅力あるリーダーを育成する女子高校」
指導方針(8項目)
- 協同:個人の自由と責任を重んじ、他人を尊重してよく協同する精神を養う
- 科学的態度:常に真理を愛し、日常生活においても科学的態度を習得させる
- 勉学:研究意欲を盛んにし、勉学に対して常に積極的な習慣を養う
- 情操:感情を陶冶し、豊かな情操を養う
- 技能:教養を高め、自己に適した技能を習熟させる
- 礼儀:礼儀を重んじ、相互敬愛の念を深める
- 勤労:勤労の精神を尊び、明朗で実行性に富む気質を育成する
- 健康:健康増進に留意し、身体の清潔を保持させる
特色ある教育活動
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業
第Ⅴ期(令和5年度〜令和9年度)研究開発テーマ :
→「科学技術・イノベーションで世界を牽引する魅力あるリーダーの育成」
平成16年度より県内公立高校として最初にSSHに指定され、3度の継続指定を経て現在第5期の指定を受けています。理系分野における女性リーダーの育成を目指した先進的な取り組みを展開しています。
SGH(スーパーグローバルハイスクール)事業
研究開発テーマ: 「未来のための『女性学』探究プロジェクト」
共通テーマ「女性学」の探究を軸に、国際的視野を持つことで地球的課題を発見し、問題解決能力の育成を図っています。
主な取り組み:
- 台湾修学旅行:姉妹校との交流
- 海外フィールドワーク:イギリス、アジア各国
- Cross Cultural Talk:東京外国語大学留学生との交流
一女独自の学習プログラム
特色ある取り組み
- 英語多読プログラム:英語を英語のまま理解する力を養成
- 国語新書レポート:すべての学びの礎である読解力を磨く
- 数学別解ニュース:論理的思考力に加え、独創性を養成
独自の校風
自主自律の精神
一女の最大の特色は、創立以来125年にわたって受け継がれてきた「自主自律の精神」です。生徒会活動、学校行事、部活動のすべてが生徒主体で運営され、「自分たちで作り上げる」という伝統が脈々と受け継がれています。
「1000色のエッセンス」の精神
創立100周年時に制作されたモニュメント「1000色のエッセンス」には、「一女生活3年間(約1000日)の全ての日々が、自分の夢を見つけたり実現したりするうえでの大切なかけがえのない要素。ムダな日なんて一日もない」という思いが込められています。
コア&オプション教育
- コア(幹):日々の授業を学校の中核と位置づけ、本物の学問の魅力を伝える
- オプション(選択肢):部活動、生徒会活動、SSH、実力養成講座等の多彩な活動
この教育システムにより、10年後、20年後を見据えた生きる力を育成しています。
県立浦和第一女子高校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
2025年3月卒業生(353人)の進学実績では、国公立大学138人(39.1%)という極めて高い合格率を達成し、延べ合格人数は1,086人に達しました。
3年間の国公立大学合格率推移
- 2025年3月:138人(39.1%)
- 2024年3月:125人(35.7%)
- 2023年3月:129人(36.8%)
この合格率は全国の女子高校としては最高水準で、特に理系・文系ともにバランス良く国公立大学への進学を実現している点が特徴です。
主な大学・短大・専門学校合格実績
最難関大学(東京一科医)への合格実績
大学名 | 2025年 | 2024年 | 2023年 |
---|---|---|---|
東京大学 | 2人 | 1人 | 5人 |
京都大学 | 2人 | 2人 | 2人 |
東京科学大学(旧東京工業大学) | 3人 | 2人 | 0人 |
東京科学大学(旧東京医科歯科大学) | 1人 | 2人 | 1人 |
一橋大学 | 2人 | 6人 | 2人 |
医学部医学科 | 4人 | 1人 | 1人 |
特に医学部医学科への合格者が4人いることは、一女の理系教育の充実を物語っています。
私立難関大学への合格実績
早慶上理(2025年)
- 早稲田大学:53人
- 慶應義塾大学:9人
- 上智大学:38人
- 東京理科大学:46人
- 合計:146人(卒業生の41.4%)
GMARCH(2025年)
- 立教大学:92人
- 明治大学:88人
- 法政大学:84人
- 中央大学:46人
- 学習院大学:28人
- 青山学院大学:17人
- 合計:355人
女子大学への合格実績
一女の特色として、伝統ある女子大学への合格実績も充実しています:
- 日本女子大学:54人
- 津田塾大学:33人
- 東京女子大学:31人
- 合計:118人

進路指導の特徴
「守・破・離」の3段階指導
- 1年生「守」:一女生としての基礎基本、「型」を身につける
- 2年生「破」:「一女生としての型」を礎に、自分の可能性を追求する
- 3年生「離」:今までの学びをもとに、自分の力で走り出す
受験0学期の取り組み
2年生の1・2月を「受験0学期」と位置づけ、大学入学共通テストレベルの到達を目標とした集中指導を実施。志望別研修や入試問題研究ゼミを通じて、「受験は団体戦」という意識を醸成しています。
実力養成講座・個別添削指導
平日の早朝・放課後、長期休業中に実力養成講座を開講し、小論文・英作文・数学・理科・社会の記述・論述問題の添削指導も希望に応じて実施しています。
県立浦和第一女子高校のイベント・学校行事
主な年間行事
前期(4月〜9月)
4月
- 入学式
- 新入生歓迎会・部活動紹介
6月
- 一女祭(体育祭)
- 生徒総会・討論会
9月
- 一女祭(文化祭)
- 芸術鑑賞会
後期(10月〜3月)
10月〜11月
- 秋季スポーツ大会
2月〜3月
- 台湾修学旅行(2年生)
- 三送会(三年生を送る会)
- 卒業式(ベートーヴェン第九を原語で合唱)
特色ある行事
一女祭(体育祭・文化祭)
体育祭の見どころ
- 3年生各クラスの仮装発表:どのクラスも創意工夫を凝らした素晴らしいパフォーマンス
- タイヤハンター、台風の目、因幡の白兎などの伝統競技
文化祭の魅力
- 毎年約1万人の来場者
- 企画・運営はすべて生徒の手で実施
- 「文化祭に来て一女を目指しました」という中学生多数
生徒総会・討論会
千人を超える生徒の前で次々と意見発表が続く伝統の討論会は、お互いを認め合い、臆することなく自分の考えを訴えることができる貴重な体験として受け継がれています。
台湾修学旅行
2年生全員が台湾を訪れ、姉妹校との交流や現地の文化・歴史を学ぶ国際教育の一環です。SGH事業の一環として、グローバルな視野を広げる重要な機会となっています。
県立浦和第一女子高校の部活動や課外活動
運動部
生徒の部活動加入率は95%以上で、運動部・文化部を問わず全国大会レベルで活躍する部も多数あります。
全国レベルの強豪部
ボート部
- 全国高等学校総合体育大会:舵手つきクォドルプル第5位
- 全国高等学校選抜ローイング大会:舵手つきクォドルプル第5位、ダブルスカル第8位
- 関東大会:ダブルスカル優勝など複数種目入賞
その他の充実した運動部
主要運動部
- バスケットボール部(1950年皇后杯全国優勝の歴史)
- バレーボール部・ソフトテニス部・卓球部
- 陸上競技部(関東大会出場)・水泳部(関東大会出場)
- 新体操部・器械体操部・ソフトボール部
- バドミントン部・剣道部・弓道部・サッカー部
文化部
全国レベルの活動
音楽部
- 全日本合唱コンクール全国大会:金賞・埼玉県知事賞
- 全国高等学校総合文化祭合唱部門出場
- 全日本合唱コンクール高等学校部門初代優勝校の伝統
アナウンス部
- NHK杯全国高校放送コンテスト全国大会:アナウンス部門入選、テレビドキュメント部門入選
- 関東地区高校放送コンクール:アナウンス部門優秀賞
競技かるた部
- 全国高等学校総合文化祭:読手の部最優秀賞
- 小倉百人一首かるた高校選手権:ベスト16
その他の文化部
学術系
- 化学部・生物部・地学部・物理同好会
- 数学研究会・英語部
芸術系
- 美術部・書道部・写真部・演劇部
- マンドリン部・吹奏楽部・フォークソング同好会
伝統文化系
- 華道部・茶道部・長唄部・琴部・能楽部・日本舞踊同好会
その他
- 文芸部・調理部・JRC同好会・漫画同好会
特色ある活動
SSH関連部活動
化学部、生物部、地学部、物理同好会、数学研究会などの理系部活動は、SSH事業と連携した高度な研究活動を展開しています。
女子校らしい部活動
長唄部、琴部、能楽部、日本舞踊同好会など、日本の伝統文化を学ぶ部活動が充実しており、125年の伝統を持つ女子校ならではの品格ある教養を身につけることができます。
県立浦和第一女子高校の施設と環境
主な施設
校舎構成
1号館(管理棟)
- 校長室、職員室、事務室
- 普通教室
- 図書館
2号館(HR棟)
- 普通教室
- 特別教室
3号館(教室・部室棟)
- 特別教室
- 部活動部室
図書館
充実した蔵書
- 約60,000冊の豊富な蔵書
- 読書センター、学習センター、情報センターとして機能
ICTを活用した探究活動支援
- 令和4年度埼玉・教育ふれあい賞受賞
- 図書館を利用した学びの体系表を策定
体育施設
体育館・格技場
- 各種競技に対応した設備
- 土足厳禁の専用施設として管理
屋外施設
- グラウンド
- テニスコート
特色ある施設・環境
学習環境の充実
全教室設備
- 冷暖房完備
- ビデオプロジェクター設置
- 生徒用Wi-Fi完備
授業時間確保の工夫
充実した授業時間
- 年間16回の土曜授業
- 7時間目(火・木曜)の設定
- 二期制導入
- 長期休業の短縮(4月4日入学式、8月下旬授業開始)
これらの取り組みにより、標準的な高校と比較して十分な授業時間を確保しています。
安全・健康管理
完全下校時刻
- 平日:19:00
- 施設利用は関係教員の指導下で19:00まで可能
冷暖房使用規則
- 冷房:6月〜9月(設定温度28℃)
- 暖房:12月〜3月(標準温度20℃)
- 健康面に配慮した使用基準
「1000色のエッセンス」モニュメント
創立100周年記念として制作されたモニュメントは、一女生の3年間(約1000日)の全てが大切な要素であることを象徴しており、校内のシンボルとして親しまれています。
125年の伝統が育む!一女で咲かせる知性と品格の花
県立浦和第一女子高校は、偏差値67-72という埼玉県最高水準の学力と、125年の伝統に培われた品格ある女子教育を両立させた、まさに理想的な学習環境です。2025年3月卒業生の進学実績では、国公立大学138人(39.1%)、早慶上理146人という全国屈指の結果を残しています。
「守・破・離」の3段階学習プログラムと、SSH・SGH両方の指定を受けた先進的な教育により、科学技術分野と国際社会の両方で活躍できる女性リーダーを育成しています。文化祭で「一女を目指しました」という中学生が続出するほど魅力的な学校生活と、部活動加入率95%以上という活発な課外活動が、一女生を知性と教養、そしてたくましさを兼ね備えた女性へと成長させています。
女性の社会進出がますます期待される現代において、125年の歴史が証明する確かな教育力を持つ一女は、高い志を抱く女子中学生にとって最高の選択肢といえるでしょう。
