県立蕨高校は埼玉県蕨市にある公立の進学校として、昭和32年の開校以来、「文武両道」を掲げて質の高い教育を提供してきました。普通科と外国語科を設置し、特に英語教育と国際交流に力を入れているのが特徴です。
偏差値64~67という高い学力水準を維持しながら、充実した部活動と多彩な学校行事により、生徒の総合的な人間力育成を目指しています。近年は難関国公立大学、私立難関大学への進学実績が著しく向上しており、埼玉県内でも注目される進学校として確固たる地位を築いています。
県立蕨高校の入試倍率と偏差値
入学難易度(偏差値)
県立蕨高校の偏差値は以下の通りです。
- みんなの高校情報:普通科67、外国語科64
- W模擬|新教育スクールガイドウェブ(60%水準):普通科67、理数科65
- 市進高校受験情報ナビ(80%水準):普通科65、理数科64
複数の模試データを総合すると、普通科は偏差値65~67、外国語科は偏差値64~65の範囲にあり、県内でも上位レベルの学力が求められます。特に普通科は偏差値67という高い水準を示しており、埼玉県内の公立高校の中でもトップクラスの難易度となっています。
入試倍率
過去4年間の入試倍率の推移は以下の通りです。
普通科の倍率推移
年度 | 志願倍率 | 志願確定倍率 | 受検倍率 | 合格倍率 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 1.36倍 | 1.33倍 | 1.33倍 | 1.33倍 |
2024年度 | 1.51倍 | 1.50倍 | 1.49倍 | 1.49倍 |
2023年度 | 1.35倍 | 1.34倍 | 1.33倍 | 1.33倍 |
2022年度 | 1.47倍 | 1.48倍 | 1.47倍 | 1.47倍 |
外国語科の倍率推移
年度 | 志願倍率 | 志願確定倍率 | 受検倍率 | 合格倍率 |
---|---|---|---|---|
2025年度 | 1.50倍 | 1.43倍 | 1.43倍 | 1.43倍 |
2024年度 | 1.40倍 | 1.40倍 | 1.38倍 | 1.34倍 |
2023年度 | 1.48倍 | 1.35倍 | 1.35倍 | 1.32倍 |
2022年度 | 1.50倍 | 1.50倍 | 1.48倍 | 1.48倍 |
普通科、外国語科ともに受検倍率・合格倍率は1.3~1.5倍程度で推移しており、安定した人気を保っています。特に外国語科は英語教育の充実により継続的に高い倍率を維持しています。志願倍率から実際の受検倍率・合格倍率までの差は比較的小さく、出願後の志願変更による大幅な変動は少ない傾向にあります。
県立蕨高校の歴史と伝統
県立蕨高校は昭和32年(1957年)4月1日に、設立者埼玉県蕨町により「埼玉県蕨高等学校」として開校しました。初代校長に梅沢九十九氏が任命され、全日制課程・共学・定員600名でスタートし、第1期生として男子98名、女子102名の計200名が入学しました。
昭和34年には蕨町の市制施行に伴い埼玉県に移管され、「埼玉県立蕨高等学校」と改称されました。開校記念日は4月15日と定められ、現在まで続く伝統となっています。
平成11年には二学期制を導入し、平成14年には65分授業を開始するなど、時代のニーズに合わせた教育改革を積極的に推進してきました。平成18年から20年度には文部科学省からスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)研究開発校に指定されるなど、英語教育の先進校として注目されました。
令和2年には土曜授業を導入し、令和4年からは50分授業に変更するなど、より効果的な学習環境の整備を続けています。創立から67年を迎える現在も、「文武両道」の伝統を受け継ぎながら進化を続けています。
県立蕨高校の立地と最寄り駅、周辺環境
所在地とアクセス
住所 | 埼玉県蕨市北町5丁目3番8号 |
アクセス | ・蕨駅西口から徒歩約18分 ・蕨駅西口からバス(浦和駅西口行)北町4丁目下車、徒歩3分 ・南浦和駅徒歩約20分 ・南浦和駅西口からバス(蕨駅西口行)文蔵小学校下車、徒歩3分 ・北戸田駅徒歩約20分 |
周辺環境
蕨市は日本最小の市として知られ、都心部への利便性が高い住宅都市です。学校周辺は閑静な住宅街に位置しており、学習環境として非常に良好です。京浜東北線の蕨駅からアクセスしやすく、東京都心部まで約30分という立地の良さから、近隣市からの通学者も多く在籍しています。
周辺には蕨市立図書館や蕨市民会館などの公共施設もあり、部活動や学習活動に活用できる環境が整っています。また、荒川河川敷が近く、強歩大会などの学校行事にも利用されています。
県立蕨高校の校風と教育方針
教育目標
蕨高校では3年間の高校生活を通して「Wの挑戦」の合言葉のもとに、7つの資質・能力の育成を目指しています。
目指す7つの資質・能力
- 批判的に考えたり、判断したりする能力
- 未来を予測して計画を立てる力
- 多面的、総合的に考え表現する力
- コミュニケーションを行う力
- 他者と協力・協働する態度
- つながりを尊重し、諸課題を意識する態度
- 積極的に進んで参加する態度
学年別目標
- 1学年: 学習、部活動、学校行事に全力で挑戦し、文武両道の基礎基本を徹底する。自己管理能力を高め、互いに尊敬できる学習集団をつくる。
- 2学年: 文武両道を会得し、自身の能力や適性を把握し、向上させ、活用する。諦めない心を鍛え、責任と自覚にもとづく学習集団をつくる。
- 3学年: 文武両道を貫き、グローバルな視点を持ち、高い志で進路希望を実現する。学び、挑戦し続ける力を伸ばし、絆で結ばれた学習集団をつくる。
特色ある教育活動
Wの挑戦プログラム
蕨高校独自の取り組みを3つの観点から展開しています。
- リベラルアーツ: 幅広い知識と様々な体験を通して、社会を生き抜く学びを提供。確かな学力、健康と体力、豊かな人間性、キャリア教育、知的好奇心の醸成の5領域で活動。
- グローバルリーダー: 国や地域、文化を跨ぐような多様性のある環境でリーダーとして活躍できる人材育成。国際交流、語学力の向上、異文化理解の3領域で活動。
- コミュニティ: 地域を支え、地域の課題を探求しながら、その発展に貢献できる人材育成。異年齢交流、行政・地域との連携、学校広報の3領域で活動。
独自の教育システム
- 50分授業: 週3日6時間授業+週2日7時間授業、隔週土曜授業
- 二学期制: 学習時間の確保と集中的な学習環境の提供
- キャリアプランニング: 独自の『キャリアプランノート』を活用した1年次からの進路指導
独自の校風
蕨高校は「文武両道の進学校」として、学習と部活動の両立を重視した校風が根付いています。生徒の自主性を尊重しながらも、規律ある学校生活を送ることを大切にしており、挨拶や時間管理などの基本的生活習慣の確立に力を入れています。
制服は男女ともブレザータイプで、女子はスラックスも選択可能となっており、多様性を尊重する姿勢が表れています。生徒会活動も活発で、学校行事の企画・運営に積極的に関わることで、リーダーシップと協働性を育んでいます。
県立蕨高校の進路・進学実績
進路・合格者の推移
2025年3月卒業生の延べ合格者数は1,432人となり、そのうち国公立大学81人(5.7%)、私立大学1,351人(94.3%)という結果でした。過去5年間の推移を見ると、量的な拡大よりも質的な向上を重視した進路指導の成果が表れています。
主な大学・短大・専門学校合格実績
2025年3月卒業生の主な合格実績
大学群 | 合格者数 | 前年比 |
---|---|---|
早慶上理医 | 47人 | +21人 |
GMARCH | 369人 | +22人 |
成成明学獨國武 | 151人 | +23人 |
日東駒専 | 296人 | +3人 |
国公立大学 | 81人 | -12人 |
特に注目すべきは、早稲田大学への合格者が38人(前年比+20人)と飛躍的に増加したことです。GMARCHレベルでも369人の合格者を輩出し、過去最高の実績を達成しました。
主要大学別合格者数(2025年)
国公立大学:82人
- 一橋大学:3人
- 北海道大学3人、東北大学3人、九州大学1人
- 筑波大学7人、お茶の水女子大学2人、千葉大学6人、横浜国立大学5人
- 埼玉大学12人、東京都立大学6人、宇都宮大学5人 など
私立大学:1,351人
- 早稲田大学 38人、慶應義塾大学9人、上智大学16人、東京理科大学24人
- 明治大学77人、青山学院大学30人、立教大学79人、中央大学40人、法政大学 105人
- 日本大学83人、東洋大学 148人、駒澤大学44人、専修大学21人 など

進路指導の特徴
充実した補講体制
「予備校や塾に頼らなくても大学に合格できる力が身につくシステム」を構築し、早朝・放課後・夏期補講を実施。小論文や英文エッセイの添削指導も充実しています。
きめ細かな個別指導
年間最低3回の個別面談を実施し、特に9月には面談週間を設定して担任によるきめ細かな進路指導を行っています。
組織的な受験指導
3年生では計3回の受験校検討会を開催し、全教員で生徒の情報を共有。多角的な視点から第1志望実現のための方策を検討しています。
県立蕨高校のイベント・学校行事
主な年間行事
蕨高校では1年を通じて多彩な行事が実施され、生徒の人間力向上を図っています。
時期 | 行事名 |
---|---|
4月 | 入学式、対面式、新入生歓迎会 |
5月 | 運動会 |
6月 | 生徒総会、卒業生との懇親会、三者面談 |
7月 | 芸術鑑賞会、臨海学校(1年生) |
8月 | 蕨高祭(文化祭)、高校生海外短期派遣事業 |
9月 | 球技大会(前期)、文化祭、校内スピーチコンテスト、小高交流事業 |
10月 | 修学旅行、社会人後援会 |
11月 | 強歩大会、小高交流事業 |
12月 | |
1月 | |
2月 | |
3月 | 卒業式、イングリッシュキャンプ、球技大会(1.2年) |
特色ある行事
臨海学校(林間学校)
開校当初から続く伝統行事で、1年生全員が参加する2泊3日の臨海学校です。千葉県の岩井浜で実施され、特に2kmを泳ぐ遠泳は多くの卒業生の思い出となっています。近年は代替行事として林間学校が実施されています。
蕨高祭(文化祭)
毎年8月末に2日間開催される文化祭は、各クラス・部活動・委員会が趣向を凝らした企画を展開します。文化部の発表の場としても重要な行事となっており、多くの来場者で賑わいます。
強歩大会
戸田市の彩湖周回コースで実施される強歩大会は、男子18.8km、女子14.1kmという本格的な距離設定で、精神力と忍耐力を養う行事として位置づけられています。
県立蕨高校の部活動や課外活動
運動部
蕨高校には18の運動部があり、多くの部活動が県大会以上の実績を残しています。
主要運動部の実績
- 陸上競技部: 関東高校選抜大会出場
- 剣道部: 関東高等学校剣道大会出場
- 男子ソフトテニス部: 関東大会出場
- 音楽部: 関東ヴォーカルアンサンブルコンテスト銀賞
- バトン部: USA Nationals全国大会Song/Pom部門第1位
- ダンス部: 全日本チアダンス選手権全国大会出場
部活動加入状況
全校生徒の約8割が部活動に参加しており、「文武両道」の校風を体現しています。各部活動では限られた時間で最大限の成果を出すための効率的な練習を心がけています。
文化部
15の文化部が活動しており、学術的な活動から芸術分野まで幅広い選択肢があります。
主要文化部
- 吹奏楽部: 64名の大所帯で活発な活動
- 音楽部: 県大会で銀賞・銅賞の実績
- 英語部: ディベート活動で県大会上位入賞
- 軽音楽部: 県大会決勝大会進出
- 化学部: 科学実験と工作活動
特色ある活動
放送委員会
NHK杯全国高校放送コンテストでアナウンス部門・朗読部門入賞の実績があり、校内放送の質の高さでも知られています。
国際交流活動
オーストラリア・サウスオーストラリア州との交換留学や、米国ペンシルバニア州立テンプル大学との教育連携協定により、実践的な国際交流を展開しています。
県立蕨高校の施設と環境
主な施設
蕨高校の校地には教育活動に必要な充実した施設が整備されています。
施設名 | 概要 |
---|---|
校舎 | A・B・C校舎の3棟構成 |
体育館 | メインアリーナと武道館 |
爽風館 | 外国語科棟・武道場(平成7年竣工) |
図書館 | 蔵書数約36,000冊、座席数48席 |
清流館 | 食堂・会議室(1階食堂、2階同窓会室) |
プール | 25m・8コース |
グラウンド | 433mの走路を備えた運動場 |
特色ある施設・環境
さわらび会館
昭和63年に建設された合宿所兼セミナーハウスで、100名が合宿できる施設です。部活動の合宿や各種研修に活用されています。
爽風館(外国語科棟)
平成7年に竣工した外国語教育専用の建物で、1階に柔道場、2階に剣道場も併設されています。ALTとの授業や国際交流活動の拠点として機能しています。
「若人の唄」像
平成18年の創立50周年記念として石原昌一氏により制作された彫像が中庭に設置されており、学校のシンボルとなっています。
図書館
約36,000冊の蔵書を誇る図書館は、平日8:40~16:45まで開館しており、生徒の学習活動を支援しています。5冊2週間の貸出制度やリクエスト制度も充実しています。
情報環境
パソコン室やCAI演習室を完備し、情報教育や外国語科のコンピュータ活用授業に対応しています。
伝統と革新が融合した埼玉県屈指の文武両道進学校
県立蕨高校は偏差値64~67という高い学力水準を維持しながら、「文武両道」の伝統のもとで総合的な人間力育成を実現している埼玉県内屈指の進学校です。2025年には国公立82人、早慶上理医47人、GMARCH369人という飛躍的な進学実績を達成し、質の高い教育力を証明しました。
50分授業と隔週土曜授業による充実した学習時間、予備校に頼らない手厚い補講体制、そして「Wの挑戦」プログラムによる多面的な教育活動により、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出しています。部活動でも全国レベルの実績を残す部が多数あり、臨海学校や強歩大会などの特色ある行事と併せて、かけがえのない高校生活を送ることができる学校です。
